大規模に収集されたドラレコの映像データは、様々な用途に利活用することができます。詳細を2023年2月に行われたイベント「5万台のドラレコを活用!大規模データ収集・機械学習基盤の全容」で紹介しています。こちらの「道路情報の差分抽出」に関するプロジェクトに関しては、違うまとめ記事の方で紹介したいと思います。
AI技術開発部データサイエンスGの菊地です。今回の記事では次世代AIドラレコサービス『DRIVE CHART』を実現するための画像認識(コンピュータビジョン)の技術について、過去に執筆された内容をもとにまとめていきたいと思います。
DRIVE CHARTは、街を縦横無尽に走行するタクシーや営業車、走行距離の長いトラックなど、プロの現場で多く採用される交通事故削減支援サービスです。現在契約車両は約5万台(2023年3月時点)と、関東・中京・京阪神エリアを中心に全国に広がっており、中でも、営業車を保有する企業様での導入が増加しています。コロナ禍による営業車の稼働減少に伴う自動車保険料の削減を踏まえ、アフターコロナに稼働が戻った際にも、現状の保険料をキープするために、事故削減に対して積極的なアプローチができる本サービスの導入を決定いただくというケースが増えています。
ドライブレコーダーから得られる各種データから、交通事故に繋がる可能性の高い危険シーンを自動検知し、運転傾向を分析する、AIとIoTを掛け合わせた交通事故削減支援サービスです。リアルタイム検知項目として、衝撃・車間距離警報・衝突警報・脇見警報・マニュアル録画、レポート検知項目として、脇見運転・車間距離不足・一時不停止・速度超過・急ハンドル・急加速・急減速・急後退を提供しています。こちらの全体像に関しては、映像情報メディア学会誌に総説記事が掲載されているので、こちらを参照してください。今回のまとめ記事では、DRIVE CHARTで使用されている画像認識の技術を紹介していきたいと思います。
我々の強みの一つであるコンピュータビジョン技術に関する記事を紹介します。危険シーンの検出には、内向きカメラ、外向きカメラといった動画像の情報に加え、車両運動センサー(GPS、加速度センサー、ジャイロセンサー)、道路地図などの情報を用いています。内向きカメラからは脇見の検出やドライバー認証、外向きカメラからは車両やレーンなどの物体検出、また消失点を検出することで車間距離の算出を実現しています。
DRIVE CHARTでは物体検出モデルを含むコンピュータビジョンモデルがエッジデバイス上に複数実装されており、それらのモデルでは許容できる処理負荷内で速度や精度を最大化することが求められます。以下のイベントでは、物体検出モデルに対して量子化による高速化を目指した際、量子化につきものである精度低下をいかに抑えたか、その知見を紹介しました。
以下は「MoT Tech #11 深堀りコンピュータビジョン!研究開発から社会実装まで」の技術ブログと講演スライドになります。
こちらは外向きカメラを用いて車間距離の算出などを行うために必要な消失点の検出に関する論文です。まず車線を検出して、その車線情報から消失点を求めるという二段階の検出方式では、前段の検出精度が後段に影響を与えてしまうという問題点がありました。特に車線情報がうまく得られないような場合は消失点を適切に検出することができません。そこで我々は深層学習を使って風景画像から消失点のヒートマップを直接得ることができる検出方式を提案しました。詳しい方法や検出精度などについては本文を読んでみて下さい。
図:消失点検出の概要(下記論文の図2より)
我々のもうひとつの強みは、ディープラーニングを用いた製品開発には欠かせないアノテーションを内製で行なっていることです。DRIVE CHARTではDeNAが開発したアノテーションツールであるNotaを使用しています。こちらはOSSとして公開されています。アノテーション作業やツールを内製することで、品質の高い教師データを柔軟に作成することができています。また、個人情報が含まれる秘匿性の高いデータを安全に運用する観点でもメリットがあります。こちらは近年のアノテーションツールの動向を紹介しながら、Notaの特徴を紹介している記事です。
大規模に収集されたドラレコの映像データは、様々な用途に利活用することができます。詳細を2023年2月に行われたイベント「5万台のドラレコを活用!大規模データ収集・機械学習基盤の全容」で紹介しています。こちらの「道路情報の差分抽出」に関するプロジェクトに関しては、違うまとめ記事の方で紹介したいと思います。
DRIVE CHARTはディープラーニングのような最新の技術と、セールス、カスタマーサクセスなどの現場のチームが、社会課題の解決に正面から取り組んでいるサービスです。上に挙げたような検知結果はあくまで”安全教育のコンテンツ”であり、それを使って学んでいくための目標や道筋が必要となります。ここでは実際に我々の技術を使って事故削減に取り組んでいる現場の記事を紹介したいと思います。このような最前線の人たちによって、我々の技術が単なる検知システムではなく、社会の問題解決のツールとなり、引いてはその技術がさらに洗練されていくのを感じます。このようなところが我々の魅力の一つと思います。
DRIVE CHARTではこれまでのサービスで培ってきた活用アイデアをウェブマガジンや無料のオンラインセミナーの形で定期的に提供しています。AIドラレコの検知技術に興味がある人、その検知技術が社会でどのように使われているかに興味がある人など、是非この機会にご活用ください。
興味のある方は 採用ページ も見ていただけると嬉しいです。
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