「JapanTaxi」アプリでは、10/28に東京・北海道からスタートした「事前確定運賃」。既にご利用になられた方はいらっしゃいますでしょうか?
「事前確定運賃」に対応するために、国交相からの公示内容を満たす必要性があったというのもデザイン改修の大きな目的ではあったのですが、この記事では、社内のDesignグループで決めた3つのUX方針に沿って、どのようにUIデザインの改修を行ったかの一部をお話させていただきます。
公示内容を見た時は、色々な意味でぞっとしたのですが(笑)そんな中、お客様にとって「事前確定運賃」ができることで得られる価値とは何なのか?ということを最初にデザイナー間で話し合いました。その結果、以下2つがこれまでタクシーの移動に無かった新しい価値だろうということに行き着きました。
これらが意味することはつまり、注文する時点から安心してタクシーで目的地まで移動できるということ。文字に起こすと当たり前に感じますね。。
とはいえ、「事前確定運賃」は各タクシー会社が国の認可を受けて実施するため、エリアによっては、この価値を提供できないケースが存在してきます。 そのため、アプリのUI改修においては、以下3つのUX方針を定めました。
まず、これまでなかった「事前確定運賃」が何なのかという事をお客様に伝えなければならない課題がありました。
社内で話し合った結果、きちんと伝えるにはアプリの一連の操作においての説明だけでは不十分そうだ。後で見返せたり、お客様からの問い合わせにも対応できるようにした方が良いだろうという意見もあり、JapanTaxi Q&Aに「事前確定運賃について」というページを新たに作成し、アプリからの導線も設けるようにしました。
また「事前確定運賃」が提供できるエリアでは、CXプラットフォーム「KARTE」を使って初回起動時のポップアップ表示で訴求し、そこからもQ&Aのページへ導線を設け、接触する機会を増やすようにしました。
そしてアプリ内のUIでは、注文時の画面において「事前確定運賃」と「メーター運賃」という意図的に大きめのボタンを設けました。意識しなくても目にとめてもらい、お客様が選択して決められる事を分かるようにするためです。
「事前確定運賃」がスタートすることで、お客様は2種類の運賃体系から選ぶことができるようになるため、改修後は「事前確定運賃」であることがわかるようにNEWマークをつけ、新たな選択肢があることを認識できるようにしています。
最初にも少し触れていますが、「事前確定運賃」は各タクシー会社が国の認可を得て実施しています。 そのため、「事前確定運賃」を導入していないタクシー会社の営業エリアにおいては、「事前確定運賃」を選ぶことができません。
また、ルートによって金額を算出するため目的地を決めないと「事前確定運賃」は適用されず、さらに、お客様がルートを選べるようにする必要があることが公示で定められています。
「JapanTaxi」アプリでは、[乗車地の入力]→[目的地の入力(スキップ可能)]→[注文]という形でステップ式に注文に進んでいきますが、もしここに[ルートの選択]という新しいステップを入れると、「事前確定運賃」ができないエリアにおいては不要なステップを増やしてしまうことになります。
そのため、[ルートの選択]は「事前確定運賃」を選んだ人だけが選べるように注文情報の設定をするステップにおいて選択できるようにし、注文ステップ数を増やさないように調整しました。
「JapanTaxi」アプリにおいて[ルートの選択]を追加してしまうことで、ステップ数が増えてしまうという問題もあったのですが、一方で[ルートの選択]は自分で選択したい人もいれば、おまかせで適切なルートを提案して欲しいとも思いませんか? リアルタイムな渋滞などを考慮した予測ルートを提案していくことも見据えて、ルート提案型につながるようなUIを意識し、適切なルートを自動的に設定することを試みました。
現在の「事前確定運賃」のルートは、地図のAPIから自動的に一番適切なものを上位から受け取り、その中でも一番距離が短くて早いルートをデフォルトで選択されるようにしています。これにより注文のステップ数は変わらず、ルートを変更したい人は「経路選択」のボタンから再選択できるような形にしました。
800万ダウンロードを突破し、既に多くの方に知っていただいているプロダクトである「JapanTaxi」アプリのデザイン改修は、ダイレクトにお客様の使い勝手に影響してしまいます。そのため、これまでのフローを大きく変えずに、「事前確定運賃」というこれまでなかった新しい価値を提供することの難しさに直面しました。
ただ、「事前確定運賃」に対応するUI改修のためのUX方針を最初に決めておいたことで、目的と阻害してはいけない体験を把握し、立ち戻りながら進めていけたのは良かったなと感じています。UIデザインでできる範囲は限られてもいますが、今できる道を見つけ出し、より価値あるプロダクトに成長させていけるようにこれからもっと使いやすくしていきたいと思います。
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