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「KARTE for App」をエンジニアと一緒に使い倒して仕組み化できてきた話

行灯LaboKarte
December 05, 2019


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※本記事は Mobility Technologies の前身である JapanTaxi 時代に公開していたもので、記事中での会社やサービスに関する記述は公開当時のものです。
An image from Notion

JapanTaxiでは1年弱前からPLAID社の提供するCXプラットフォーム「KARTE for App」の導入・運用を開始して、各種施策・効果検証に活用しています。

運用開始してまだまだ活用余地が残っているところではありますが、ありがたいことにMarkeZineにも取り上げていただく程には活用できてきたかなという感じです。

今回は運用する中で、エンジニアと協働して効果につながった施策も出てきたので、導入時の背景からどのようにエンジニアが活用するに至ったかまでの経緯を、実際の活用事例も踏まえてご紹介できればと思います。

※今回の記事では、KARTEに関する基本的なサービス説明は割愛させていただきます。公式サイトをご参照ください。

導入の背景

もともと『JapanTaxi』アプリではアプリ内接客ツールを利用していましたが、「アプリから収集されるリアルタイムな情報をもとにしたコミュニケーション施策が打てなかった」ことが一番の背景でした。

「タクシーを呼ぶ」という行為の背景には、人により様々な理由があります。タクシーへ乗る方は都心のビジネスマンもいれば、子育て中のママさん、あるいは病院通いのシニア層などもいます。それに加え、時間帯や地域によっても大きく異なります。

このように非常に多岐にわたるユーザーのニーズや、その瞬間の”モーメント”を的確に捉え、迅速かつ適切にコミュニケーションが取ることが重要であると考えたとき、親和性が高かったのが「KARTE for App」でした。

このサービスを通じて収集されるユーザー軸の属性情報や行動ログなどのデータを組み合わせて、最適なダイアログ・Push通知などでコミュニケーションを取ることができます。

もちろん自社でそのような機能を内製することも検討はできましたが、KARTEでは既にテンプレートが十分に用意されていたり、分かりやすいGUIが提供されているので、都度エンジニア・デザイナーに依頼することなく、企画者側のみで施策準備〜A/Bテストの効果検証まで完結することができるのも魅力的でした。

開発でも活用されるようになった経緯

上記でご説明の通り、本来はマーケ・企画サイドで開発工数をかけずに様々な施策を試せることが強みのサービスではありますが、JapanTaxiではエンジニアも積極的に活用しているのが特徴的な運用スタイルです。

そのような運用に至った経緯に以下の要因があります。

  • 「イベントのリアルタイム性」「設定値配信」という機能の存在
  • エンジニアにコア機能の開発に集中してもらいたいという考え
  • KARTEに詳しいエンジニアの存在

「イベントのリアルタイム性」「設定値配信」という機能の存在

KARTEでは豊富な機能がありますが、中でも開発フレンドリーな機能として「イベントのリアルタイム収集」「設定値配信」の2つの側面があります。

アプリ上でのユーザーの操作・入力情報や、アプリの起動場所の緯度経度など各種ユーザー情報・行動ログがリアルタイムで計測・分析されているため、その情報を活用したインタラクティブな施策・設定が可能です。

また「設定値配信」というネイティブアプリ側の要素をKARTEの管理画面上から変数として設定できる機能が備わっています。これによりネイティブアプリのアップデートをかけることなく、コミュニケーション設計を柔軟に構築することが可能になります。

本来はユーザーセグメントごとに設定値配信でバナーを出し分ける、などの事例があるようですが、JapanTaxiでは少々ユニークな使い方をしています。(詳細は後述)

エンジニアにコア機能の開発に集中してもらいたいという考え

開発部では日々いろんな開発案件に取り組んでいます。その案件の中には、例えばマーケティング部で推進するプロモーション施策のために、アプリ内で追加実装が必要となることも多々あります。

マーケティング部に所属する身としては非常にありがたいと感じる一方、アプリディレクターという役割として、またいち個人の思いとしてもエンジニアにはアプリのコア機能の開発に集中してもらい、よりよい移動体験の創出のために力を注いでもらいたいと考えています。(もちろんマーケティング部の施策を否定するわけではありません)

そのため、マーケティング施策を検討する際にすべてを開発に委ねるのではなく、開発に依らないあるいは開発する場合も将来的な負債となりにくい形で実現したいと思っています。

KARTEに詳しいエンジニアの存在

たとえ上述のような考えを思っていたとしても、開発側でマーケ系ツールがなかなか理解を得られなかったり浸透しにくいこともあると思います。

その点JapanTaxiの場合、前職でKARTEの実装・運用経験が豊富なエンジニアや、マーケ系ツールの仕様に詳しくかつ理解もあるエンジニアが周りにいたことは非常に幸運でした。

「KARTEのこの機能を組み合わせて、こういう実装をしたいんだけど」と自主的に仕様をキャッチアップし、新規機能の開発相談をもらったときは非常に驚きました。。!

活用事例

このような経緯を経て、エンジニアと連携しながらKARTEを活用した施策が次々と生まれていきました。今回はその中から2つの施策をご紹介します。

東京オリンピックを想定した交通対策テストのアプリ内告知施策

背景・目的

  • 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が大会本番に向けて、2019年7 月、大会期間中の混雑緩和に向けた取り組みを総合的にテストするため、交通規制が行われました。該当時間帯・エリアではアプリからの注文も止める必要がありましたが、通達から規制実施までの時間がタイトだったため、ネイティブアプリのアップデートが間に合わない可能性があることが課題でした。

施策のポイント

  • 当該エリア・時間帯の注文処理を停止する処理はServer側で対応し、ユーザーへの告知部分はKARTEで行うように役割を分担。開発には前者のServer対応に注力してもらいつつ、KARTE設定部分は運用担当の私が担当しました。
  • 東京の中でも限定的な時間帯・エリアでの規制だったため、ユーザーがアプリ上で設定している注文情報をリアルタイムに取得し、該当するユーザーにのみ注文確定する直前で注意文言を表示するよう設定しました。

結果・効果

  • タイトなスケジュールでしたが、アプリのアップデート対応を不要にする方法を取れたため、期日までにシステム改修・ユーザー告知どちらも実現することができました。
  • タクシー会社への無駄な注文が入ることを回避し、かつユーザーに対しても問い合わせを受ける前に、事前に適切な案内することができました。
  • また今後も同様に限定的な時間帯・エリアでの交通規制は想定されため、今回の施策をフォーマット化し、次回以降はより少ない工数で対応できるようになったことも開発リソース観点で大きかったです。

エリアプロモーションの一環でのオフラインイベントと連動したアプリ内施策

背景・目的

  • 『JapanTaxi』アプリでは、エリア限定のマーケティング施策を行うことがあります。その中にはアプリと連携した企画となることも多く、今回はオフラインイベントと連動した訴求を対象エリアのユーザーに実施する必要がありました。
  • エリア限定の施策はこれまでも何回か実施したことがありますが、施策の度に開発工数がかかってしまったり、本質的な機能開発が止まってしまうという課題感もありました。

施策のポイント

  • 上述の「設定値配信」の機能をフル活用しました。
  • 今回のオフラインイベントが実施される場所の緯度経度、アイコン画像などの動的要素を設定値配信を利用して、KARTEのGUI上から変数設定しておき、その値をアプリ起動時に取得・保持します。
  • それらの値をもとにネイティブアプリ上でアイコン表示を行い、かつそのアイコンがタップされたことをトリガーにKARTEでダイアログ表示を行う設定をエンジニアと協働で実装しました。
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結果・効果

  • 設定値配信を活用することで、KARTEのGUI上からキャンペーン用のデータを企画者のみで自由に変更する事ができるようになりました。
  • 汎用的な仕組みとして実装したことで、今後も同様な施策が検討された場合であっても、アプリへの追加開発・ストアへのアップデート申請をせずとも繰り返し実施することが可能になったことは非常に大きいです。

まとめ

今回ご紹介した施策のポイントとしては、いずれも「汎用的な仕組みにしている」ことと考えています。施策の都度、開発に依頼するとオペレーションの負荷にもつながり、結果としてよりよいユーザー体験を提供するための本質的な機能開発に割く工数が削がれてしまいます。

そこをKARTEをうまく組み合わせながら、部署で対立することなく活用していくことができてきたのはよい循環だなと思います。

今後もKARTEの機能を上手に使い分けながら各種施策にどんどん使い倒していきたいと思います。「うちはこんな使い方してる!」という人いればどしどしコメントください!


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※本記事は Mobility Technologies の前身である JapanTaxi 時代に公開していたもので、記事中での会社やサービスに関する記述は公開当時のものです。

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