JapanTaxiではタクシードライバーの売上向上を目指し、AIを利用した業務支援システムを構築しています。主要機能として、タクシードライバーの目的地設定や通過ルートを支援するための、エリア単位の需要予測があります。本稿では、需要予測機能についてご紹介します。
需要予測機能はタクシーの運行実績と外部データを特徴量とした回帰モデルになっており、500mメッシュ毎のタクシー乗車数を30分単位で予測しています。
タクシーの運行実績と外部データを特徴量としています。それぞれの役割としては、予測のベースとなる需要傾向を過去のタクシー運行実績から捉え、突発的な需要変化を外部データから捉える、という形になっています。
過去のタクシー運行実績データです。曜日による需要差異や直近の需要増加といった、周期的・短期的な需要傾向を捉えるために利用しています。
気温や雨量といった気象予報データです。暑い日や雨の降っている時にはタクシー需要が増加するため利用しています。
電車の遅延や運休といった運行状況速報データです。通勤ラッシュ時などに運行見合わせが起きた場合にはタクシー需要が増加するため利用しています。
コンサートやスポーツの試合といったイベント開催予定データです。年齢層にもよりますが、人が集まるイベントではタクシー需要が増加するため利用しています。
移動や滞在などの人の動きを加味した人口動態予報データです。他の外部データからは得られない実際の人の動きによるタクシー需要の変化を捉えるために利用しています。
前述した特徴量をもとにシンプルなモデルで需要予測を実施しています。予測精度向上のため、高度なモデル※により特徴量の時間的・空間的な依存関係を学習させる、といったことも検討しています。
今後はUI/UXを改善することで、よりドライバーが使いやすいアプリを提供していきます。予測モデルについては、メッシュの粒度や時間間隔を小さくしたより細かな予測ができるようにしていきます。
需要予測に関して、データの時間的・空間的な依存関係をモデルに学習させる社外の取り組みがあります。
[1]ではLSTMを利用して過去の時系列データとの依存関係を自動抽出し、外部データと組み合わせることで祝休日の突発的な需要を精度よく予測しています。
[2]ではCNNを利用して地域間のデータの依存関係を自動抽出し、外部データと組み合わせることで人口の移動需要を精度よく予測しています。
[3]ではLSTMとCNN、LINE[4]を利用して時間的・空間的な依存関係を自動抽出することでタクシーの乗車需要を精度よく予測しています。特に、CNNを利用して近傍エリアとに限定した依存関係を抽出し、LINEを利用して時系列の波形の似ている比較的離れたエリアとの依存関係を自動抽出しています。
[1] Laptev, Nikolay, et al. “Time-series extreme event forecasting with neural networks at uber.” International Conference on Machine Learning. No. 34. 2017.
[2] Zhang, Junbo, Yu Zheng, and Dekang Qi. “Deep Spatio-Temporal Residual Networks for Citywide Crowd Flows Prediction.” AAAI. 2017.
[3] Yao, Huaxiu, et al. “Deep multi-view spatial-temporal network for taxi demand prediction.” arXiv preprint arXiv:1802.08714 (2018).
[4] Tang, J.; Qu, M.; Wang, M.; Zhang, M.; Yan, J.; and Mei, Q. 2015. Line: Large-scale information network em- bedding. In Proceedings of the 24th International Conference on World Wide Web, 1067–1077.
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