タクシーに乗ったことのある人なら必ず目にしているはずのタクシーメーター。最近のメーターはネットワーク対応している製品もありますが、JapanTaxi製メーターも外部機器と連携することでデータをネットワーク送信することが可能になっています。メーターをネットワークに接続することでどんなうれしいことがあるでしょうか?
そもそもタクシーメーターの役割は何かと言うと、走行距離や時間を計測し、運賃や料金を自動計算することです。現代のメーターはそこから発展し、運賃の他に乗降時間や位置情報、人数等、より詳しい情報を付加して営業データとして記録しています。記録されたデータは、各社バックオフィスのシステムと連携して、データベースに登録されたり、帳票出力に利用されたりするわけです。
従来、このデータのやり取りにはSDカード等や、専用のカード及びリーダーが使われていました。日々カードを運搬、抜き差しすることによる紛失や故障等のリスクもありましたが、メーターをネットワークに接続することで、こうしたメディアの取り扱いが不要になります。メーターデータはすべてサーバにアップロードされますので、そちらを経由してバックオフィスとの連携が可能になったのです。これにより、営業から帰ってきた後の事務処理が簡略化されました。
他にうれしいこととしては、サーバ側でメーターデータに処理を加えることも可能になったという点です。例えば、昨年8月に事前確定運賃の実証実験が行われましたが、メーターはそうした運賃制度にまだ対応していませんでしたので、現場でどのように運用するのかはひとつ課題となりました。走行情報を記録するためにメーターは動かす必要があるのですが、運賃は予め決められた別の金額になってしまうからです。
そのとき行ったのは、サーバ側で運賃データを事前確定運賃に改造するという対応です。これによりバックオフィスとのデータ連携や事務処理がスムーズに行えるようになり、大きな混乱もなく実証実験を進めることができました。タクシー業界ではこれからも新しい取り組みがどんどん実施されていきますので、ネットワークに接続できるメリットは今後も生きてくるでしょう。
さらに有用なのは、やはりリアルタイムデータでしょうか。位置情報、空車や賃走などの状態、急加速、急減速等のイベントデータなど、メーターで取得できるあらゆるデータをリアルタイムでサーバに転送しています。従来であれば、いったんタクシーが営業に出てしまえば、営業所に帰ってくるまで売上はもちろん、どこを走っているかもわからない状態でした。ですが、今では専用のアプリケーションを使って、タクシーのリアルタイムな状況を把握することができるのです。
各車の位置はもちろん、売上の進捗もわかりますので、例えば、仮に売上が芳しくないのに公園でいつまでも休んでいるような車両があれば、即座に営業所側から連絡をとって指導することも可能です。そのようにして、少しでも売上を伸ばせるように、営業所側からタイムリーに働きかけるようなこともできるようになりました。
また、最近の風潮としては働き過ぎに対してかなり敏感になってきていますが、タクシー業界にもそれは当てはまります。乗務員のお給料は、一部歩合制が取り入れられていますから、休憩もあまり取らずに長時間運転を行ったり、時間ギリギリまで頑張ってしまったりする人もいるわけです。そうしたことが続くと、過労によって健康を害する恐れがあるのはもちろん、何より事故の危険性が高まります。そのため、安全な運行のために適切に休憩をとるよう指導することも、大切な業務のひとつとなるのです。そうした面からも、休憩を含めた運行状況をリアルタイムで把握できることは大きなメリットと言えます。
このようにタクシーの現場でリアルタイムデータの活用は進んでいるのですが、今後はそれらの業務をもっと自動化していくのが課題です。リアルタイムでデータが見えるようになったのは良いのですが、車両数が多ければそれらを人力で管理するには当然限界がありますから、これも自然な流れと言えます。タクシーのデータ活用というと、自動運転や人工知能による配車の研究といった話題が最近ではよく見られます。先進的で華やかな分野ですが、地味なところでは、こうした業務の自動化にも日々取り組んでいるのです。
Mobility Technologies では共に日本のモビリティを進化させていくエンジニアを募集しています。話を聞いてみたいという方は、是非 募集ページ からご相談ください!